野にあった小さな豆は、いつ人の手に渡ったのか。大豆の起源をたどる。
はじまりの豆
大豆の起源は、現在の中国東北部から朝鮮半島北部にかけての地域と考えられている。そこには「ツルマメ」と呼ばれる野生種が自生していた。つるを伸ばし、さやは小さく、種も今の大豆よりずっと小粒である。人はいつ、その野生の豆に目をとめたのだろうか。狩猟や採集を中心とした暮らしの中で、偶然口にしたのか、あるいは保存のきく植物として意識されたのか。はっきりとはわからない。ただ、その豆は野に確かに存在していた。
人の手の痕跡
野生のツルマメと栽培大豆を比べると、いくつかの違いが見えてくる。種は大きくなり、さやははじけにくくなり、収穫しやすい形へと変わっていった。これは自然の偶然だけでは説明しにくい変化である。人が育て、選び、残していく中で、少しずつ形が整えられていったのだろう。いつからそれが始まったのか、正確な年代は定まらない。しかし、豆が人の暮らしのそばに置かれ続けたことだけは確かである。野の植物は、やがて畑の作物へと姿を変えていった。