硬く小さな豆を、あえて口にした理由は何だったのか。
口にする決断
野に実る豆は、決して食べやすいものではない。大豆の祖先とされるツルマメも、小さく硬く、そのままでは噛みにくい。しかも、豆類の中には体に合わないものもある。にもかかわらず、人はそれを手に取り、口に運んだ。飢えの中で試したのか、それとも身近に多く実る植物だったからか。理由は一つではないだろう。ただ、食べられるかどうかを確かめる営みそのものが、人の歴史の一部であった。
手間という選択
大豆は、煮たり炒ったりと、ひと手間かけなければ食べにくい。火を使う暮らしが広がる中で、その硬さは乗り越えられていったと考えられている。保存がきき、腹持ちがよいという特性も、人の生活に合っていたのかもしれない。すぐに口にできる木の実ではなく、あえて手間をかける豆を選んだこと。それは、単なる空腹以上に、暮らしを整えようとする意思の表れだったのではないか。