第12回 味噌はなぜ生まれたのか

豆はなぜ、長い時間をかけて発酵させられたのか。

塩と時間

味噌の起源は、中国から伝わった醤(ひしお)にさかのぼると考えられている。穀物や豆を塩とともに仕込み、時間をかけて熟成させる方法は、保存の知恵でもあった。日本に伝わった後、大豆を主原料とする形へと変わり、やがて独自の発展を遂げていく。なぜそこまでの手間をかけたのか。長く保つこと、そして風味を深めること。その両方が、暮らしの中で求められていたのだろう。

家ごとの味

味噌は、地域や家ごとに仕込み方が異なったとされる。気候や水、塩の量、熟成の期間。条件が変われば、味わいも変わる。同じ大豆から生まれながら、まったく同じ味にはならない。味噌は単なる調味料ではなく、家の時間そのものを宿す存在だったのかもしれない。豆を塩とともに眠らせることは、未来の食卓を準備する行為でもあった。

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