糸を引く豆は、どこで生まれたのだろうか。
偶然のはじまり
納豆の起源には、いくつもの説がある。戦の最中に煮豆を藁に包んだところ、発酵したという話もあれば、寺院での保存食が始まりだったとする見方もある。いずれにしても、藁に含まれる菌が作用したことは知られている。ただ、それがいつ、どこで初めて食べ物として受け入れられたのかは定かではない。腐敗と発酵の境目を見極める経験の中で、納豆は生まれたのだろう。
東と西
現在のような糸を引く納豆は、東日本で広く親しまれてきた。一方、西日本では別の発酵食品が発達し、納豆の広がりは限定的だったとされる。同じ大豆から生まれながら、受け入れられる地域とそうでない地域があった。味や香り、土地の習慣が関わっていたのかもしれない。納豆の歴史は、発酵の歴史であると同時に、地域ごとの選択の歴史でもある。