豆は特別な食べ物だったのか、それとも当たり前の糧だったのか。
特別な席
大豆そのものが贅沢品として扱われた記録は多くない。しかし、豆から生まれた食品の中には、贈答や供物として用いられたものもあったとされる。味噌や豆腐は、日常の食卓を支えながらも、場面によっては格を持つ存在になった。豆は決して華やかではないが、姿を変えることで特別な席に招かれることもあったのだろう。
いつもの一膳
一方で、多くの人びとにとって大豆は、繰り返し食べられる日常の糧だったと考えられている。畑で育て、家で仕込み、家族で分け合う。豪華ではないが、途切れることなく続く食事の中に、豆は静かに置かれていた。贅沢と日常は、はっきり分かれていたわけではない。大豆は、その境目を行き来しながら、人の暮らしに寄り添っていたのかもしれない。