大豆はいつ、肉にたとえられるようになったのか。
たとえの誕生
大豆を「畑の肉」と呼ぶ表現は、比較的近代に生まれたとされている。肉食の価値が広く共有される社会の中で、それに匹敵するものとして豆が語られるようになったのだろう。それ以前の時代、大豆はあくまで穀物や日常の糧のひとつであり、肉の代わりという位置づけではなかったと考えられている。たとえが生まれるには、比べる対象が必要だった。
価値の写し鏡
「畑の肉」という言葉は、大豆そのものよりも、その時代の価値観を映している。肉が豊かさの象徴とされたとき、豆はそれに近づく存在として語られた。逆にいえば、豆は常に暮らしの中にあり、あえて強い言葉を必要としなかった時代も長かったのだろう。呼び名が変わるとき、食べ物の意味も少しずつ変わる。大豆は、時代のものさしに合わせて、その姿を映してきたのかもしれない。